【猫アトピー症候群の定義・診断・治療 2021】 Pert 1

【疾患を極めるシリーズ】第一弾
このシリーズは、「診察でよく見かけるけど難しい」そんな疾患を理解してもらうための企画です!

 

記念すべき第一弾は、猫アトピー性皮膚炎!

 

2021年に猫アトピー症候群(FAS)の【定義・診断・治療】が詳細に見直されました。

この報告は、獣医皮膚科の中で権威ある『Veterinary Dermatology』の論文から紹介しています。

 

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【猫アトピー症候群の定義・診断・治療 2021】

Pert 1
猫のアレルギー疾患を正しく理解しよう!
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Feline allergic diseases: introduction and proposed nomenclature

 

① 2021年の報告では、まず猫アレルギー疾患の定義が見直されました。

 

新たな定義のポイント
◎ 「猫過敏性皮膚炎」→「猫アトピー症候群(FAS)」へ疾患名が変更
◎ FASの3タイプとして、「猫アトピー皮膚症候群(FASS)、猫喘息、食物アレルギー」を定義する

 

つまり、以下が新たな分類となります。

猫アトピー症候群(FAS)
 1. 猫アトピー皮膚症候群(FASS)
 2. 猫喘息
 3. 食物アレルギー

 

 

② 猫アトピー症候群(FAS)が定義された背景として、「人のアトピー性疾患」と以下の点で類似している改めて確認されました。

 

FASと「人のアトピー性疾患」の類似性

◎ 発症のトリガーにIgE 抗体が関与している
◎ アレルギーによる皮膚炎/喘息/腸症が続発する「アトピーマーチ」様の病態が猫にも見られる
◎ 「無作為の194例のアトピー症候群の猫のうち、アビシニアン・ヒマラヤン・ペルシャ猫に品種の偏りが見られた」という報告などから、FASも遺伝性疾患の可能性が示唆される

 

 

③ 最後に、FASとこれに付随する猫アレルギー性疾患の詳細も設定されました。
「猫のアレルギー疾患」を明確に診断できるよう、しっかり抑えましょう!

 

猫アレルギー性疾患の定義と説明

◎ 猫アトピー症候群(FAS):
環境アレルゲンに関連するアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー、および IgE 抗体に関連する喘息が含む疾患群です。
特に、食物アレルギーとノミアレルギーはFASに深く寄与する可能性があるので、治療の際はこれらが関与していないか評価する必要がある。

 

◎ 猫アトピー皮膚症候群(FASS):
環境アレルゲンに対する IgE 抗体に起因する可能性があります。
食物アレルギーとノミアレルギーが深く寄与する可能性があるので、治療の際はこれらが関与していないか評価する必要がある。

 

◎ 猫喘息:
細気管支に影響を及ぼし、自発的な可逆的な気道狭窄と気道リモデリングを引き起こす好酸球性炎症性疾患です。
吸入アレルゲンに対する IgE 抗体に起因する可能性があります。

 

◎ 食物アレルギー:
摂取された食品に対する免疫学的反応性に起因する可能性があります。
FASS の症状を含む、あらゆるアレルギー性の臨床症状を指します。