春はワクチン接種だけでなく、『ノミ予防』のシーズンでもあります!
ふと、こう思ったことはありませんか?
『ノミ予防』って、本当に毎月続ける必要があるの??
『室内飼いだから予防しなくて大丈夫』といった声もよく聞きます。
しかし、いつもの散歩道や仲良しのワンちゃんと触れ合ったとき、ノミに感染することがあるのです。
あまり知られていませんが、ワンちゃんがノミに刺されると、
背中や腰回りに激烈なかゆみが起こることがあります。
これはノミの唾液に対するアレルギー反応で、ノミアレルギー性皮膚炎と呼ばれます。
今回は、皆さんのワンちゃんがノミアレルギー性皮膚炎にかからないよう、症状や予防のポイントについて解説していきます!
ノミアレルギー性皮膚炎について
ノミに刺された際に、ノミの唾液が犬の皮膚に侵入します。 侵入したノミの唾液にアレルギー反応を示すことで『ノミアレルギー性皮膚炎』が生じます。
1匹でもノミに刺されると発症するため、徹底した予防が大切になります。また、ヒトも同様にノミに刺されるとかゆみが生じることがあります。
アレルギー反応なので、刺された子が必ず発症するわけでありません。しかし、
ノミと接触しやすい環境で飼われていると発症する可能性が高くなます。
多くの場合、5歳未満で初めて症状が認められます。
ノミが引き起こす皮膚病以外の症状としては、貧血(ノミの感染が重度の場合)、また、瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)といったほかの寄生虫の感染を媒介します。
ノミアレルギー性皮膚炎の症状
しっぽや腰の背部、後ろ足、腹部に強いかゆみがみられます。始めは赤い発疹ができ、赤く腫れます。痒みが激しくなると、眠れなくなることもあります。痒くて引っ掻くことで、二次感染が起きたり、毛が抜けたりしてしまいます。
初期に、突然つよいかゆみが起こるのが特徴です。
「散歩で草むらに行ったあと」や「外飼いの犬猫と触れ合ったあと」などにこの症状が起こると、ノミアレルギー性皮膚炎が強く疑われます。
ノミアレルギー性皮膚炎の原因
原因は、ノミの唾液中の抗原です。体の中で唾液に対するアレルギー反応を起こします。
ノミが血を吸う時、ノミの唾液が犬猫の皮膚に入るため、唾液に含まれる「パプテン」というたんぱく質に対してアレルギー反応が起こり、皮膚炎になります。
ノミは、ご家庭の庭や、草むらなどに潜んでいます。
これらの場所や、ほかの犬や猫と触れ合ったとき、時には人の服にノミがついていて、おうちのワンちゃんにも感染してしまいます。
室内も要注意です。
愛犬・愛猫が多くの時間を過ごす場所(特に ベット ソファー じゅうたん など)
これら家具の周辺には、ノミの幼虫が主食にするノミの成虫の糞(血液の消化物)や人やペットの食べこぼし、フケなどがたくさんあります。特に光が届きにくく、湿った場所を好むため、家具の下は絶好のスポットです。
ワンポイント!
画像:https://www.elancopet.jpより
ノミは気温が13℃あれば繁殖を繰り返していきます。つまり冷暖房完備の家の中はノミにとっては快適で、一年中ノミが繁殖できる環境であるといえるのです。
ノミは好適な環境が整えば、驚異的な繁殖力をみせます。メスノミが10匹入れば、30日後には2000匹に増殖。同時に大量の卵や幼虫が孵化します。成虫が愛犬・愛猫に寄生していたら、すでに室内に大量発生している・・・ということになります。
以上のことからお外で飼われているわんちゃんに限らず、お家の中で飼われているわんちゃんも『通年のノミ予防』が望ましいとされます。
ノミアレルギー性皮膚炎の診断 〜 管理
受診するときのポイント
ノミアレルギーかも!と思ったときは、なるべく早く動物病院を受診して下さい。
受診の際は、以下の情報を伝えていただくと非常にスムーズです。 ・ノミ予防をしているか(期間と頻度) ・飼育環境(外/室内飼い、散歩にいくか、他の犬猫と接触するか) ・かゆみが起こりはじめた時期とかゆい部位 など
治療と管理について
治療には、主に駆虫薬(ノミダニの予防薬)を使います。多等飼育の場合、他のわんちゃんも一緒に治療してあげましょう。
痒みが強い場合、痒み止めを処方されることがあります。
早くに対応できれば、1~2ヶ月で良くなる場合がほとんどです。
ワンポイント! 実は、治療だけで安心してはいけません。
ノミの感染がわかった後は、その飼育環境まで徹底的に清掃しなければならないのです。
ノミが潜んでいるポイントと対処を紹介します。
ノミは、「卵 → 幼虫 → 蛹 → 成虫」という順番で成長するので、
これらが潜んでいる場所をしっかりと対処してあげましょう。
♦ 掃除機が有効 (週2回以上・しっかりと)
ノミの幼虫はほぼ死滅させられます。
ノミの幼虫が主食にするノミの成虫の糞(血液の消化物)や、動物のフケなどを除去する目的もあります。
♦ 洗濯できるものはよく洗う&天日干し(ペットが接触していたものは特に)
♦ ノミ・ダニの駆除薬(予防薬)を最低でも3ヶ月以上は継続してください。
その子が過ごした場所、ケージの周り、毛布なども掃除機や殺虫スプレーで徹底的にノミを除去しましょう。
ピレスロイド系の殺虫スプレーであればノミを駆除できます。ただし、ネコちゃんと同居しているお家はピレスロイド系の殺虫剤を使用しないでください。中毒を起こす危険性があります。
ノミ・ダニ予防の方法
一度発症した子は、ノミに刺されるとまた発症する可能性が高いです。
そのため、駆虫薬をきちんと使用し、また、以前感染した原因(草むらなど)に近づくのも必ず避けましょう。
ノミ予防薬は、”塗るタイプ” と ”食べるタイプ” の2つが主流です。
よくシャンプーする子や塗るタイプを嫌がる子は、味も美味しい食べるタイプを選べます。
”塗るタイプ”
”食べるタイプ”
ワンポイント!
① ノミとり首輪やノミ取りシャンプーでは完全に予防できません。
首輪の場合、首輪の下を通るノミには効果的ですが、『お家の中にいるノミ』や『首以外に寄生しているノミ』には効果がありません。
シャンプーもハーブ系などノミダニを寄せにくくするなどの効能が書かれていますが、こまめに洗浄を行う必要があります。また、環境中に散らばったノミに対しての効果は乏しいです。
今後、良い商品が発売されるまでは駆虫薬(予防薬)をおすすめします。
② 市販薬と病院で処方された薬の違い
これは人の風邪薬をドラックストアで購入した場合と病院で処方されたお薬を使用した場合で違いがあるように動物でも同じことが考えられます。市販の滴下式のお薬を使用した後に皮膚炎を生じたケースがあるため注意が必要です。
[ 参考 ]