『抗生物質を飲ませているのに皮膚病が治らない。。』
そんな経験をしたことはありませんか?
皮膚科・耳科の病気が抗生物質で良くならない時、当院では細菌検査までしっかり行うよう患者様と相談しています。
( ※ 抗生物質 = 菌を倒すためのお薬 )
動物に感染した菌の種類と、治療に効く抗生物質の種類を調べる検査です。 菌に効く抗生物質が分かるので、素早く効果的な治療につながります。 「細菌培養検査」とか「細菌培養同定・薬剤感受性試験」と呼ばれることもあります。
今回は、細菌検査が皮膚科診察でどれだけ大切か、どんな時に行うべきかといったポイントを解説します。
抗生物質で治らない時は、はやめの細菌検査が効果的です
上に書いた通りたくさんのメリットも持つ細菌検査ですが、注意点もあります。
検査費用がかかり、免疫力の低下などがあると細菌検査の結果に従っても治療がうまくいかない場合もあります。
世の中に100%の検査はないと言うことですね。
細菌検査は皮膚科でもよく利用されます
皮膚科でも、細菌による感染症が良く見られます。
特に多いのが『膿皮症』という病気で、この病気も細菌の感染症なので一般的に抗生物質で治療します。
膿皮症についてはこちらで紹介しているので、興味がある方は読んでみて下さい。
実は、治りにくい膿皮症が増えています…
抗生物質で治療しても、やっぱり膿皮症が治らないことがあります。
その原因のひとつが、『薬の効かない耐性菌が感染していること』です。
何度も同じ抗生物質を使っていると、その抗生物質で倒せない菌が生まれてしまいます。これを『耐性菌』といいます。
こういう時は細菌検査で、他に効く抗生物質がないか調べた方がより良い治療に繋がります。
検査結果を見てみよう!
こちらが検査結果の見本です。当院では「検査数値」までしっかり記載される検査を使用しています。
『判定』の欄の「R = 効果なし」や「S = 効果あり」から、抗生物質の効き目が一目瞭然になります。
すべての患者様に行うわけではないですが、薬の効果がイマイチな子や、治療が長引いている子には推奨している検査です。
もし、いくつかの抗生物質が効かない『耐性菌』が検出された方は、今後病気になった時の参考にもなるので覚えておきましょう。
膿皮症で、細菌検査が必要になるタイミングは?
膿皮症の治療法は、国際学会で大まかに定められています。
その規定によると、このような場合に細菌検査を使うことが勧められています。
今回紹介した「細菌検査」は、膿皮症以外にも、細菌が感染している病気なら使用する可能性があります。
特に、記事中でふれた「耐性菌」は、ヒトの医療でも動物の医療でも世界的に問題視されていて、私たち獣医師も抗生物質の無駄使いをできるだけ避けるよう努力しています。
耐性菌と戦うためにもとても重要な検査なので、必要な時にはしっかりと獣医師と相談の上、細菌検査を実施してみましょう。